マグロ解体新書
COLUMNマグロの栄養価や期待できる効果効能を解体師が解説します!
こんにちは!マグロ解体師 碇田(イカリダ)です。
日本人にとって一番メジャーな魚といっても過言ではないマグロだが、
ここ数年は「好きな魚ランキング」1位の座をサーモンに奪われることも。
今回は、サーモンにライバル心を燃やす私が、マグロの部位ごとの栄養価、種類別の栄養素の違いについて掘り下げて紹介しよう。味はもちろん旨いのだが、栄養の面でも優れているってことをみんなに知ってもらいたい!これを知ってもらえれば、サーモンから1位の座を奪えるか!?(サーモンも大好きです)
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マグロに含まれる栄養とは?赤身、トロ、サーモンで比較してみた
マグロもサーモンも同じ魚なんだから、栄養は大して変わらないのでは?と思われる方もいるのではなかろうか。そんな方のために「マグロの赤身」「トロ」「サーモン」で栄養素を比較しよう。部位が変わることで栄養成分の含有量が変わるのも面白い。まずは総カロリーと三大栄養素を、続けて主要なビタミン、ミネラル、必須脂肪酸ごとでまとめてみた。
総カロリーと三大栄養素(100gあたり)
マグロの赤身 | トロ | サーモン | |
エネルギー | 125kcal | 344kcal | 139kcal |
タンパク質 | 26.4g | 20.1g | 22.51g |
脂質 | 1.4g | 27.5g | 4.51g |
炭水化物 | 0.1g | 0.1g | 0.11g |
表からマグロの赤身は豊富なたんぱく質、低カロリーで低脂肪な食材であることが分かる。体重を気にしてる方やダイエットしてる方にはマグロの赤身がおすすめだ
ビタミン(100gあたり)
マグロの赤身 | トロ | サーモン | |
ビタミン | 83μg | 270μg | 27μg |
ビタミンD | 5μg | 18μg | 33μg |
ビタミンE | 0.8mg | 1.5mg | 1.31mg |
ビタミンB1 | 0.1mg | 0.04mg | 0.27mg |
ビタミンB2 | 0.05mg | 0.07mg | 0.15mg |
ナイアシン | 14.2mg | 9.8mg | 6mg |
ビタミンB6 | 0.85mg | 0.82mg | 0.41mg |
ビタミンB12 | 1.3μg | 1μg | 9.4μg |
これを見てもいまいちピンとこないかもしれないが、マグロの赤身はナイアシンの量がサーモンの2倍以上含まれる。そして、赤身とトロどちらもビタミンB6が高いのが特徴である。
ミネラル(100gあたり)
マグロの赤身 | トロ | サーモン | |
ナトリウム | 49mg | 71mg | 57mg |
カリウム | 380mg | 230mg | 380mg |
マグネシウム | 45mg | 35mg | 31mg |
鉄 | 1.1mg | 1.6mg | 0.4mg |
マグロの赤身にはマグネシウムの含有量が多い。そして、赤身の魚の特徴である、鉄分も豊富に含まれている。
必須脂肪酸(100gあたり)
マグロの赤身 | トロ | サーモン | |
リノール酸 | 8mg | 340mg | 56mg |
リノレン酸 | 3mg | 10mg | 26mg |
アラキドン酸 | 16mg | 170mg | 20mg |
DHA | 120mg | 3200mg | 480mg |
EPA | 27mg | 1400mg | 270mg |
必須脂肪酸とは、体内で他の脂肪酸から合成できないために食べ物から摂取する必要がある脂肪酸のこと。
トロが飛びぬけてDHAとEPAが高いことが分かるだろう。
さて、次でこれらの栄養素にはどんな働きがあるのかを赤身とトロで分けて紹介しよう。
【マグロの赤身】主要な栄養成分と効果効能
先ほどの表で、同じマグロでも部位で栄養成分の含有量が変わることが分かってもらえただろうか。まずは、赤身に多く含まれる栄養成分の効果効能を見てみよう。
若々しく保つためのタンパク質が豊富!
マグロの赤身は、背側にあり、脂が少なく、低カロリーで高タンパクな部分である。タンパク質といえば、筋肉や臓器の他、肌や爪、髪の毛などの体のあらゆる部位を構成している。不足すると枝毛や切れ毛、薄毛、コシが無くなるなどのの髪のトラブルを引き起こしてしまう。肌のシワ、たるみ、むくみなども起こりやすくなるので恐ろしい。また、筋肉が損なわれて疲れやすくなったり・・・。
マグロに含まれる良質なタンパク質を摂取することで、筋肉量の維持や増加を期待でき、代謝の低下を防ぐ効果も!身体を若々しく保つには、タンパク質は欠かせない。ダイエットをしてる方は、栄養が不足しがちになるので、ぜひマグロの赤身を積極的に食べて欲しい。
「肌のビタミン」と呼ばれるナイアシンが多く含まれる
ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質のエネルギー代謝には欠かせないビタミンだ。血行をよくし、肌を健康に保つ働きがあるため、「肌のビタミン」とも呼ばれている。また、アルコールの代謝を助ける栄養素でもある。お酒を気持ちよく飲むなら、マグロと日本酒の組み合わせは最高ではないだろうか。
ビタミンB6含有量はサーモンの2倍!脂肪肝を予防する
ビタミンB6は、免疫機能の正常な働きの維持、皮膚や粘膜のターンオーバーの増進 、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素だ。また、肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮してくれる。
そんなビタミンB6がサーモンの2倍含まれる赤身だが、女性に嬉しい効果がある。ビタミンB6は、エストロゲンの代謝に関わり、ホルモンのバランスを整える効果もあるので、積極的に食べて欲しい。
骨の健康に欠かせないマグネシウムが豊富!
マグネシウムは、肉類よりも魚介類に多く含まれ、その中でもマグロの赤身に多く含まれる。
役割としては、骨や歯の形成、柔軟性、弾力性を高めて骨折しにくくさせるといった心強い働きをしてくれる。その他、神経の興奮を抑えたり、カルシウムの作用をコントロールして筋肉の収縮、弛緩の調整にも欠かせない。
【トロ】主要な栄養成分と効果効能
トロは、脂質の含量が高い腹部の身を指す。脂肪分の多いトロだが、だからこそDHAとEPAが豊富に含まれる。どんな効果があるのだろうか。見逃さずに見てくれ!
血液サラサラ成分のEPAが圧倒的に多く含まれる
EPAは血液をさらさらにして、血中の中性脂肪を減らし、心疾患や脳血管疾患などの予防に効果的だといわれている。健康な生活をおこるうえでは欠かせない栄養素だ。
トロにはDHAが豊富!脳の健康に重要な成分
DHAを摂取することで「頭が良くなる」と聞いたことがある人もいるのでは。その理由は、DHAが人間の脳や神経組織の発育を促進し、その機能を高めることから、記憶力のアップにつながるといわれることにある。
他にも、順天堂大学大学 横溝岳彦教授らの研究グループの研究によって、EPAやDHAの食事摂取によって免疫細胞を抑え、花粉症対策に効果が期待できることも分かっている。美味しくて体にも良いEPAとDHAが豊富に含まれてるなんて最高の食材であろう。
栄養素の含有量は種類によっても変わる
日本の食卓で出回っているマグロといえば、本マグロ(クロマグロ)、ミナミマグロ(インドマグロ)、メバチマグロ、ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)、キハダマグロの5種類だ。種類によっても栄養素の含量が変わってくるのだが、特に種類によって差のある栄養成分を抜き出してみた。
マグロの種類別で栄養素を比較(100gあたり)
本マグロ | ミナミマグロ | メバチマグロ | ビンチョウマグロ | キハダマグロ | |
鉄 | 1.1 mg | 1.8 mg | 1.4 mg | 0.9 mg | 2 mg |
ナイアシン | 14.2 mg | 11 mg | 13.5 mg | 20.7 mg | 17.5 mg |
ビタミンB6 | 0.85 mg | 1.08 mg | 0.46 mg | 0.94 mg | 0.64 mg |
ビタミンB12 | 1.3 μg | 2.2 μg | 4.5 μg | 2.8 μg | 5.8 μg |
脂質 | 1.4 g | 0.1 g | 1.2 g | 0.7 g | 0.4 g |
鉄分とビタミン12の含有量が多いキハダマグロの特徴
キハダマグロは全長1.5~2m程度で体重は80kgに達することがある。マグロの種類の中では、細長い体長で体の色が黄色っぽいのが特徴的だ。味は脂少なめであっさりしていてクセが無く、身質はやや硬めだ。
ナイアシンの含有量が多いビンチョウマグロの特徴
マグロの仲間の中では最も小型で、全長約1m、体重は25~30kg程だ。他のマグロよりも淡泊な味わいで、リーズナブルな価格で手に入る。日常の食卓に取り入れやすいマグロといえる。
ビタミンB6の含有量が多いミナミマグロの特徴
ミナミマグロは全長は2メートル程度、体重は200キロを超える。本マグロに次ぐ高級マグロだ。酸味がありながらもねっとり濃厚な味わいは、刺身や寿司ネタとして好まれる場合が多い。
脂質の多い本マグロの特徴
本マグロは、マグロの中でも最高級品とされ、全長3m、体重400~500kgに達する。他のマグロと比較すると脂質の量が多く、肉質が非常に滑らか!味にはコクがあり、うま味が強いのが特徴。
マグロの栄養成分を無駄にしない食べ方
煮ても焼いても旨いマグロだが、栄養成分を効率よく食べるにはどんな調理方法が良いのだろうか。
栄養素重視なら生で食べるのがおすすめ
加熱調理をすることで栄養素が流れ出てしまう場合があるので、栄養素重視なら加熱せずに生で食すことがおすすめ!特にDHAやEPAはサラサラしていて流出しやすく、例えば加熱調理では焼き魚で約2割、揚げ物で約5割も減少すると言われている。
マグロとアボカド和え、マグロの山かけ丼、マグロのカルパッチョ、マグロユッケなど、探すと色んな刺身のアレンジレシピがでてくるだろう。飽きないように工夫して、日常の食卓にマグロを取り入れて欲しい。
ナイアシンは加熱に強い
「肌のビタミン」とも呼ばれるナイアシンは、熱に強いので加熱調理しても栄養素の損失が少ないといわれている。しかし、水には溶け出しやすいので煮汁ごと食べられる調理がおすすめだ。マグロのあら汁、マグロの煮付けなどであれば余すことなく食べれるだろう。
カマ、血合い、目玉にも栄養たっぷり!
ここまでは、マグロの赤身とトロの栄養価について語ってきたが、マグロはどの部位も栄養たっぷり!せっかくなので、カマ、血合い、目玉の栄養についても解説させてくれ。
カマの栄養素
マグロのカマとは、マグロのエラの後ろにある固い部分を半円状に切り落とした部位のことを指す。草刈り鎌みたいな形だからカマと由来するそうだ。マグロ一匹から二つしか取れないとても希少な部位でもある。
そんなカマだが、カマにもカマトロという部分があり、この部位は特に脂が乗っている。大トロにも匹敵するほどの滑らかなくちどけ具合だ。栄養素としては、EPA、DHA、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどが豊富に含まれている。
血合いの栄養素
血合いとは、魚を三枚におろした時にある赤黒い部位のこと。白身の魚には少なく、カツオ、サバ、マグロなどの赤身の魚に多く含まれている。しかし、鮮度がよくないと生臭さを感じるからか、スーパーなどではあまり出回らない。でも見つけたときにはぜひチャレンジして欲しい。特に女性が不足がちな鉄分、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類が豊富に含まれている。
目玉の栄養素
見た目で嫌煙されがちだが、マグロの目玉はゼラチン質でしっかりと旨味が詰まっているため、美味しく食べることができる。栄養面では、コラーゲン、DHA、EPA、ビタミンB1などが豊富に含まれていて、栄養価が高い部位ともいえる。コラーゲンといえば、肌に弾力やハリをもたらしてくれる栄養素なので、美肌効果もばっちり!
【まとめ】栄養面でもマグロはめちゃくちゃ優秀な食材
マグロは栄養価の高い食材であることを分かってもらえただろうか。マグロは高タンパクで、健康や美容効果の高い栄養素がたっぷりと含まれている。味も栄養面でもサーモンに圧勝ではないだろうか(個人的見解)。
これを見て、マグロファンが増えてくれたら嬉しい。
※でも、食べすぎにはご注意を!